日本の陶器の魅力

陶器は世界各地で作られてきたものですが、その中でも日本特有の魅力というものはどこにあるのでしょうか。これは一言で言い表すのは難しいところがあります。日本の焼き物のうち、磁器が占める割合も多く、一般の人には陶磁器といって混同して考えられている方も多いので、それを別々に分けて考える必要があります。磁器は洗練された透明感や鮮やかな彩色が魅力といえますが、この磁器への憧れを陶器で再現しようとした作品も数多くあります。

これらはいわば磁器になろうとした努力の現れであり、陶磁器としてまとめて考えた時にその美しさとして説明できるものになります。これに対して、陶器としての魅力として切り分けて説明するのであれば、それは、素朴さの中の不作為の作為、との言える自然な造形にあるのではないでしょうか。

世界の焼き物を見ると、基本的には均整の取れた美しさを追求しているのが主流です。これに対して日本の陶器は、形の不均整さ(アシンメトリー)や焼いた時の灰によるシミなどいわば自然の造形に近いものに美しさを見出す点に特徴があります。